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ページを繰りながら、上前淳一郎さんが週刊文春に連載したコラムの題
〈読むクスリ〉を思い出した。 子どもの無垢な発言を集めた本紙投稿欄「あのね」の朝日文庫版だ。 オトナに疲れた時の軽い栄養剤として、いくつか紹介したい。 そろいの服の双子に、大抵の大人は微笑を返すだろう。子どもは違う。 「どっちが本物なの?」(彩音4歳)世は謎だらけである。 ぬかみそにナスを漬け込む祖母には「どうして隠すの?」(恵理4歳) みんな残酷なまでに正直だ。犠牲者は母親が多い。 久々に緊張してハンドルを握れば「怪獣の目で運転してる」 (友大4歳)化粧中に「まゆげの修理?」(裕貴3歳) 体重計の上で「やばーい」(祥2歳)もママのまねらしい。 何を思うのか、妙なつぶやきもある。 一人洗髪しながら「妹は、いつまでたっても妹……」(香子6歳) 風呂上がりのミニアイスをほおばって「おれの一日はこれで終わった」(朗央5歳) 晩酌みたいなものか。 友だちの風船が空へ。母は「かわいそうねえ」と常識に従うが、 子は「でも雲は喜ぶね」(京佳4歳)逆さまの発想は金子みすゞの詩に通じる。 認可保育園に入れられず、母の目に涙。すると 「仲間に入れてほしい時は、大きな声で言えば入れてくれるよ」(八重4歳)と、 また泣かせる。 大きく膨らんだカーテンにしがみついて「風つかまえた!」(絵里4歳) サイダーのコップに耳を近づけ「夏の音がするよ」(道郎5歳) みずみずしい感性、はじけ合う季節が、梅雨空の向こうに待つ。 朝日の投稿欄「あのね」は、楽しく見てるんだけれど こうやって並ぶとほんとにすばらしい。 子どもとお母さんの向かい合った目線がすてきです。 ノーマン・ロックウェルの絵のようにその時の状況が、目に浮かびます。 そのときの会話が、しぐさが、ショートフィルムのように動き出します。 きもち、いいです。朝日文庫か。買いにいこ。
by kishimoto_hajime
| 2009-06-11 14:08
| 拍手!ザブトン!
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