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十割蕎麦と書かれたのぼりが見えます。
ここだ、な。 評判の、と聞いたもので。 戸を開け入ると、田舎風のつくりです。 どこか旅先にいるようなきぶんも。 お昼どき。 紺背広のふたりが向かいあって、 まじめに仕事状況を話し合ってます。 なに食べよ、と思いながら店内をながめてると やさしそうな女性が品書きを持ってきてくれます。 ランチセットもあるけど…。 作業服姿のおじさんが、せいろ3枚とか言ってます。 うむ、やはり、まずは、せいろですね。 せいろは一人前2枚なんだけど、 お昼はサービスでもう1枚つくのだという。 おお、すごいなぁ。 でも、2枚でいいです。 「いつでも追加、おっしゃってくださいね」。 書が趣味なのか腕に覚えがあるのか、 店のなかにはやたら筆で書かれた紙が貼られている。 「化学調味料の類 一切不使用」「1枚目は、塩で」とか。 だけども黒板に書かれた品書きの文字はマンガみたいだが。 「実は店主の正体はソムリエなんです」なんて貼り紙も。 なのに、品書きには銘柄なく日本酒としか書かれてないが。 こういうところがね。ちょっとお尻がむずむずしてきた。 「まず、お塩でお召し上がりください」 というが、その塩の説明はない。隣は胡麻かな。 水切りがわるいか、いや蕎麦切りか、ぬるっとした口あたり。 つゆも酸味が強く薄い、というか味に深みがない。 なにより蕎麦を食べてる気がしないのだが。はて。 店内に貼られたノーガキ文字を眺めながら、 「男は黙って…」の言葉をふと思う。 うまいものは、うまいのだから。
by kishimoto_hajime
| 2014-02-07 00:14
| 蕎麦
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